米国制裁の多くは、金融制裁であり制裁対象者の米国の金融資産を封鎖し、米国における金融取引(サービス)ができなくなるというのが基本です。そして多くの場合、制裁対象者(組織)への「重大な支援等」の禁止が加わります。この場合、禁止されているのは米国人・米国企業であり、非米国企業は対象外なのですが、別な条文で「重大な支援等を行ったもの(非米国企業も含む)は新たに制裁の対象となりうる。」規定していることが多いです。従い、非米国企業であっても、制裁を受けた企業との取引は躊躇せざるを得ないというメカニズムがあります。
日本の銀行は当然非米国企業ですが、制裁を受けた相手と例えばドルで決済することはまずできません。現時点では世界の金融システムは米国内にあり、2次制裁ではなく直接的に金融制裁に違反するからです。日本の企業が仮にその取引が重大な支援にはならなければ、検討しようかとか考えていても、日本の銀行が一切取引しないという状況が起こったりします。また、制裁の場合、リストに掲載されていなくても、掲載企業が支配する関係会社等にも適用される場合もあったりします。勿論、それぞれの制裁法と取引の内容によっては、可能となる場合もあり得ますが、米国の弁護士からのLegal Opinionの取り付けは必須となり、それなりの費用がかかるため、小規模の取引であれば、結局やめてしまうというケースが多いと思われます。
自主管理体制構築支援
米国の制裁対応は、実は輸出管理からは少し離れる話ですが、企業のリスク管理としては輸出管理の「取引審査」と同時に行うことが可能なため、輸出管理体制の中に組み込む形をとるケースも多いです。また、米国政府自身も企業に対して制裁リスクを精査するための自主管理プログラムを導入することを奨励しています。
研修
専門部署向け研修、一般社員向けなどの講習、リモート研修又は研修用動画の作成
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