輸出管理を外為法順守のためのプログラムから一歩進めて、貿易ビジネスのリスク管理プログラムであると捉えたとき、顧客の審査は大変重要になります。その基本は懸念リストに掲載されているかどうかの確認となります。輸出管理法令的には、日本の輸出者が確認する義務があるのは外国ユーザーリストだけですが、近年では米国の制裁が多様化され、非米国企業にとっても、所謂2次制裁(輸出者が取引をしてしまった場合、即米国法での違反とはならないが、制裁対象とされうる制度)また非米国銀行でも一定の直接的な罰則が適用される事態が出てきています。その結果、銀行が取引を一方的に断るなどの新たなビジネスリスクが発生してきています。
当研究所では極めて単純な解決策を提案しています。それは、輸出者はいずれにせよ外国ユーザーリストの突き合わせを行う義務があるのだから、一緒に米国のリストの検索をしてしまうことです。
米国でみなくてはならないリストは極めて複雑なのですが、数年前からConsolidated Screening Listの名のもとに、まとめて発表するようになっています。当研究所では、このリストを常に最新のものにキープした上で、日本の輸出者の義務である外国ユーザーリストをクラウドのSQLデータベースとして管理しています。
管理部門の方のみならず、輸出に携わる社員の方すべてがビジネス構築のすべての場面(引き合いがきたとき、輸出管理届出書を上げるとき、契約や船積みのとき)で簡単に検索を行い、その顧客が問題ないことを常に確認できる状況をつくることが極めて重要と考えます。